ジョン・グリーン(John Green)著
『The Fault in Our Stars』です。
あらすじ
肺がんを持つ16歳の少女、ヘイゼル・ランカスター。甲状腺がんが肺に転移して、3年間も酸素ボンベが手放せないまま治療を続けている。
彼女は片足を失った少年、オーガスタス・ウォーターズと出会い、二人は互いに惹かれあっていきます。しかし、彼らは同時に、若くして死と向き合う苦悩も抱えている。
辛い状況の中、人を愛することの喜びや苦しみを描く、少し切ない青春小説。
感想
主人公・ヘイゼルの悩み
未完結の小説『The imperial affliction』
アンネ・フランクとの対比
物語の途中で、ヘイゼルはアムステルダムにある『アンネ・フランクの家』を訪ねます。
はじめて読んだとき「ん?なぜアンネ・フランクの家?」と困惑したのですが、少し調べていくうちに「ああ…なるほど」と納得しました。
アンネ・フランクは第二次世界大戦中の、ユダヤ人迫害の被害者の一人です。
彼女は隠れ家の中で日々生活しながら、様々なことについて日記に記していました。彼女は15歳の時に強制収容所で命を落とし、父親のオットー・フランクだけが生き残りました。オットーはその後アンネが書いていた日記を出版し、それが今の「アンネ・フランクの日記」となっています。
ここで重要なのは、アンネ・フランクは若くして亡くなり、父親だけが生き残った、という点です。ヘイゼルは15歳という若さで亡くなったアンネ・フランクと、癌でいつ命を落としてもおかしくない自分を重ねているのだろうと思います。
このアンネ・フランクとの対比といい、小説「The Imperial Affliction(大いなる痛み)」への執着といい、ヘイゼルは常に「自分が死んだ後に、残された人はどうなるのか」ということを心配しているのです。
オーガスタスの悩みとヘイゼルの悩みの対比
一方、青年・オーガスタスは「誰の記憶にも残らず忘れ去られること」が怖いといいます。
これに対してヘイゼルは「いつか地球は滅びて、ゴッホやクレオパトラすらも忘れられて、彼らを記憶する人すらいなくなってしまう」と諭します。この話はとても対照的というか、オーガスタスとヘイゼルは似ているようで価値観は全くの正反対であるということがわかるのです。
オーガスタスは「たくさんの人に覚えていてもらいたい、忘れられることは怖い」と考える中、ヘイゼルはむしろ「自分の存在を忘れてほしい、自分の死で誰かを傷つけたくない」と思ったのではないかと思いました。
作者情報
ジョン・グリーン(John Green)は、アメリカ合衆国インディアナ州に生まれた作家であり、彼の代表作には『The Fault in Our Stars(きっと、星のせいじゃない)』や『Paper Towns(ペーパータウンズ)』などがあります。
彼の作品は、若者たちが直面する現代社会の問題や複雑な感情をリアルかつ繊細に描写しています。
その中でも特に、キャラクターたちの会話や内面の描写が巧みで、遊び心があるところがまた面白くて、多くの読者層に人気です。
映画化
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