今回紹介する一冊は
リサ・ジェノヴァ著
『Still Alice』です。
著者のリサ・ジェノヴァは
うつ病やパーキンソン病、
脳卒中後の記憶の喪失
などを研究対象としている
神経科学者でもあります。
その豊富な知識を生かして
書かれたのがこの『Still Alice』。
当初この本は自費出版されたそうで、
30万部を超えるベストセラーとなりました。
50歳で若年性アルツハイマー症と診断された
大学教授・アリスの葛藤を描いた物語。
記憶をだんだん失くしていく中、彼女や彼女の
家族たちとの関係の変化などが細やかに描かれています。
あらすじ
アリス・ホーランドは3人の成人した子供と夫、大学教授としての地位、名誉、すべてにおいて純忠満帆な生活を送っていた。
だがある日、アリスが日課のランニングをしているとき、一瞬自分がどこにいるのか分からずパニックに陥る。
それからだんだん、予定していたフライトに乗り忘れたり、ミーティングに出席するのを忘れたりと、次第にいろいろなことを「忘れて」いることに気が付く。
病院で検査を受けた結果、「早期発症型アルツハイマー症」と診断される。
アリスや家族は困惑するが、症状は時間の経過とともに酷くなっていき...。
一人称視点で語られるアリスの思考
主人公・アリスの一人称視点でストーリーが語られていくのが印象的です。
早期発症型アルツハイマー病が進行するにつれてアリスの語り方や言動も
だんだん変化していって、まるで自分自身が同じ病気を経験しているような
気持にすらなります。
通常、自分以外の人の病気や怪我は、どういった感覚で、
どういう風に苦しいのかなどが分かりにくいものだと思います。
本の中の登場人物、知らない病名となればなおさらで、「早期発症型アルツハイマー病」が
どういうものなのか、普通に他者の視点から説明されてもあまり理解しにくいと思います。
ですが、この作品においては病気を患ったアリス自身の視点から物語が描かれ、
彼女の考えた一つ一つの事や心情が事細かく書かれていて
とても分かりやすく、感情移入もしやすかったです。
少し寂しい家族関係
個人的な感想なんですが、夫がちょっと寂しい。
というか、ちょっとしたクズでは?とか思ってしまう。
奥さんがアルツハイマーで苦しんでて、普段のちょっとした事も失敗して落ち込んでしまってるような時に、なんか淡々としてるっていうか……。
正直「もう少し寄り添ってよ!」と叫びたくなるようなもどかしい人物です。
彼も受け止めきれなかったという事なのかもしれませんが…。なんかモヤモヤします。
まとめ
今日、リサ・ジェノヴァ著「Still Alice」を紹介させていただきました。早期発症性アルツハイマー病を患者自身の視点から描いた非常にリアルで恐ろしく、同時に心を動かされる一冊でした。皆さんもぜひ、「Still Alice」を手に取っていただけたらと思います。
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