今日ご紹介する一冊は、
エラ・ウェスト(Ella West)作、
「Thieves」です。
あらすじ
ニッキーは、どこにでもいるような内気であまり友達のいない女子高生。
だが彼女には一つだけ他と違うことがある。彼女は自分の思った場所に瞬間移動する能力を持っているのだ。
ある日、同級生の前で自分の書いた作文を読むように言われたニッキーは、思わずクラス全員の見ている前で瞬間移動をしてしまう。
そして次の日。「Project」とだけ名乗る謎の組織に身柄を引き渡されることになったニッキー。
ニッキーはそこで初めて自分と同じような能力を持つ人と出会い、自身の持つ瞬間移動の能力について深く知ることになる。
同時に、彼女が組織に引き取られた理由も明らかになり……。
「Project」はニッキーのような能力者を集めて企業の機密文書などを盗み出していたのです。
自分の能力を犯罪に使うことに戸惑いを覚えるニッキー。彼女は隙を見て組織から逃げ出そうとするが……。
読んでみた感想
瞬間移動の設定が緻密で面白い
瞬間移動の能力はSFやファンタジー系の作品だとかなりの頻度で登場しますが、ここまでいろいろな設定が決められたものは初めて見ました。
作中の瞬間移動者は、どこへでも好きな場所に移動できるわけではなく、能力に制限があります。
例えば、主人公のニッキーは、「特定の場所」「写真で見たことのある場所」など自分が理解してる場所に瞬間移動することができます。
一方、もう一人の瞬間移動能力を持つ少年・ポールは「自分が見たことのあるもの」のもとに瞬間移動できます。
ほかにも、「特定のものがある場所」や「特定の人物のいる場所」に瞬間移動できる能力など、同じ瞬間移動の能力でも少し設定が変わるだけでずいぶん使い方が変わるんだな、という所が細かくて面白かったです。
全三巻の一巻目のようで、次巻は「Anywhere but here」、その次が「Real life」となっています。ぜひ続きも読み進めたいと思います。
作者情報
作者のエラ・ウェスト(Ella West)はニュージーランドのインバカーギルで生まれました。小さな頃から読書が好きで、兄の図書カードを借りてさまざまな小説を読み漁っていたのだとか。
彼女の処女作である「Thieves」は 翌年New Zealand Post Book Awards に載り、次巻「Anywhere But Here」と「Real Life」も国内でとても人気になりました。
「thieves」は三部作で完結しますが、その他にも「Night Vision」や「Rainfall」など様々なニュージーランドが舞台の作品を出版しています。
まだ他の作品は読めていないのですが、ぜひ読んでみたいと思います!
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